おとうふの香り

ハウキャナイビーシュア

まっピンクの夕焼けのこと。

昔書いて、今でもたまに、どうしてか思い出す日記。を、メモを整理していてたまたま見つけたのでここにまた載せます。

このピンクの夕焼けのこと、私がおばあさんになって自分の生年月日を言えなくなっても、きっと話すんじゃないかと思う。

 

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高校三年生の放課後を思い出している。受験前、終わらないおしゃべりと、大体苦痛でこっそり面白い勉強のために、仲良しの友達同士でよく教室に残っていた。たまになぜか廊下を走ったり、追いかけたり、鏡を使って写真を撮ったり、していた。

 

ずっと一緒にいるのにどうして写真の中でも一緒にいようとしたんだろう。私たちがいつか失われるということは誰に教わったんだろう。私たち以外いないような小さい町で、誰に見せるでもなくピースして、よく写真を撮っていた。私たちは残らないことを知っていた。それはきっと本能とかじゃなくて、どこかで覚えたことだった気がする。

 

ふと、ノートに照る、前に座る子の肩に乗る、椅子の錆びた鉄の丸い角に光る、まっピンクの夕焼けに誰かが気づいた。あまりにロマンチックで、みんな笑った。私たちは若くて、若いことが、みんな、少し悲しかった。そのことはなぜかお互いにわかっていた。その瞬間だけは、気が遠くなるくらい見つめてた人の、眩しい後ろ姿も思い出さずに、ただその瞬間、そこにいたみんなのこと、今、のことだけを考えていた。